「俺はその言葉を鵜呑みにして、美生と別れてしまった。後悔しました。美生は俺の人生そのものだと、別れて知ったんです。」

何も言えなかった。何も。

励ます言葉や、藤間さんの気持ちを代弁するような、そんな言葉、何一つ言えなかった。

「その時に出会ったのが、妻の仁湖なんです。彼女はどこか、美生に似ていて……間違っていると思いながら、俺は仁湖と結婚しました。」

許せない。

けれど、仕方がない。

この人だって、別れたくて別れたんじゃない。

藤間さんだって、そうだ。

お互いの幸せの為に、別れを選んだんだ。

そうだ。

そうなんだ。