「世間には、バレないように注意してたんです。その方が美生がいいって言うから。グループのメンバーや、仲間、友達家族にも、美生と付き合ってるって、言いませんでした。」

本当に好きなら、ポロッと言ってしまいそうだけれど、そこは大人同士だったのかなと、俺は勝手に思った。

「本当に好きだったんです。美生の事。18年も付き合ってたんです。嘘じゃありません。」


けれど、何だろう。

俺は、異様に腹が立った。

それだけ好きで、長い間付き合ってたんだったら、なぜ結婚しなかったんだと。

彼女を待たせるだけ待たせて、遂に捨てられたんじゃないかと思った。

「誕生日とか、クリスマスとか、イベントを一緒にいられない時はありましたけど、何気ない日が俺は好きでした。彼女の素の部分を見ているようで。結婚も考えていました。」