「え、宮城行くのやめたの?」


向かいの席に座る笹森が目をぱちくりさせた。もう何度その顔見たかな。


「うん、断られた」

「え!?」


ちょっと時間が出来たとある日の午後、そーいえば~的なノリで話してみたら期待通りリアクションしてくれた。


「宏太くん何て言って断ったと思う?」

「え、何?何?まだ早いーとか?」

「ううん、さすが宏太くんだよ」

「?」


すぅっと息を吸って、キリッと目に力を入れる。


「“俺のために犠牲にしないで”って」

「マジかよ、カッケーな!!!」

「本当だよね~~~~~!ビックリした~~~~~~~!」


ははって笹森と笑って、あーなんだちゃんと笑えてるじゃんって思ったりして。


「私もそんな風に言えたらよかったのに」

「ん?何て?」

「ううん!私もう少しここでがんばるから!」



新しい恋が、私にとってきっといいものになるように。


ちゃんとしあわせになるから。



いつかまた夢が持てるように。