それからしばらくして宏太くんから電話がかかって来た。


「もしもし未来ちゃん?遅くにごめんね、もう寝てた?」

「全然いいよ~、だらだらテレビ見てたから」


もうすぐ深夜12時、カーテンを開け窓を覗くとまだ東京タワーは光っていた。


「なかなか会いに行けなくてごめん」

「ううん、大丈夫だよ。私も忙しいし、お互い様だよ」

「ほんとごめん、今すぐにでも行けたらいいのに」

「しょーがないよ、遠距離だし思うように会えなくてもさ」

「いや、すげぇ悔しい。この距離が悔しいよ」

「大丈夫だって、そんな気にしないでよ」

「俺が!…会いたいなーって…思うんだけ…ど」


どんどん細くなっていく声に、なんだか愛を感じてしまったりして。


「うん、私も」


自然とそんな言葉だって言えちゃった。


「今度の休み、空いてる?」

「うん、空けとく」

「じゃあ次の休み!会おうね!俺が会いに行くから!」


東京タワーの光りが消えた。

12時になったんだ。

おやすみと言って電話を切った。


煌びやかな東京の待ちだって、それなりに静かな夜もある。

輝かしい街ばかりではないから。

いくらそこへ行こうとしたって、何もない私にはただ見ていることしかできない。

眩しい光の中で、キョロキョロとどんなに周りを見渡しても居場所なんてないんだ。

私がここにいる意味って何なんだろう。


私ってなんでここにいるんだっけ?

どうして東京に来たんだっけー…?