次の日はしいに宮城を案内してもらった。
山の中に突然現れる約150基の鳥居の神社はただただ圧巻で、宏太くんとは違うセンスの場所を教えてくれて楽しかった。

1日中歩き回って、その日の夜はすぐに眠ってしまった。
漣くんとの馴れ初めでも聞きながら布団に入ろうと思ったのに。まぁ、いいか。今度うちに遊びに来た時に聞こう。


「駅まで送っていかなくていい?」


2泊3日の宮城旅も今日で終わり。思ってたよりいろんなところへ行けて満足な旅だった。


「うん、大丈夫。宏太くんが駅まで送ってくれるって言うから」


わざわざしいの家まで車で迎えに来てくれた。車で15分ぐらいのとこに住んでるらしく、ご近所さんらしい。
仙台駅まで送ってくれて、改札まで一緒に来てくれた。


「ありがとうね、宮城楽しかった」

「うん、俺も楽しかったよ」


宮城と東京、次はいつこうやって会えるかわからない。

ちゃんと答えを、私の気持ちを伝えておこうと思った。

新幹線が来るまであと10分ちょい。


「あのね、宏太くん。あの返事だけど…」

「うん」


急にビシッとした宏太くんに私まで緊張した。


「あの…私でよければよろしくお願いしますっ」


ぺこりと少しだけ頭を下げた。


「え、マジで?本当に!?」


顔を上げるといつものにこやかなあの笑顔で、その姿にすごく安心した。


「うんっ」


私も自然に笑顔になっちゃうような、そんな力があると思った。

差し出された手を握る。
見つめ合って、微笑んで。

こんな感覚久しぶり過ぎてなんだか恥ずかしい。


「あ、もう行かなきゃ!ごめんね!」

「うん、気を付けてね!着いたら教えてね!」


ばいばいと手を振って改札を通った。
ゴロゴロとキャリーバックの音を立てて新幹線のホームへ向かう。

今から私は宏太くんの彼女、そう思いながら新幹線に乗り込んだ。