「そもそも、犯人はどこで犯行を考えていたか?昼ではないだろ。犯人が操子のバイト先を知ってれば、バイトが終わるのを待ってる方が、時間の節約になる」
「殺人が、合理的かどうか、分かりませんが、バイト先を知っていれば、とうぜんそうするでしょうね。犯行計画があったとしても、明るいうちではないでしょうね」
「比較は何分かかるんだ」
「結構かかります」
「それじゃ、操子のバイト先をあたるか」
と大田は大あくびをする。
「非常勤講師の平林はスポットだと言ってましたが」
「いや、それを言ったのは、土岐だ」
「でも、事件当日のバイト先のスマホ履歴がないんですよ」
「じゃ、どうする?」
「糸井という女友達に聞いてみますか?ほかの友達に聞いておくと言ってましたから」
大田は渋面をつくった。
「面倒だな。苦手なんだよ。ああいう、キャピキャピした女の子」
「いやあ、二人LINEで聞いてみます」
「なんだその、ふたりラインてえのは」
「二人だけのLINEという意味です。ふつうLINEはグループでやるもんなんです」
三沢はスマホで乗っ取ったLINEアプリにタッチした。
(ミサコ)「警察の三沢だけど、操子の事件当日のバイト先わかった?」
すぐに書き込みがあった。
(イトウ)「牛丼屋じゃないかって」
(ミサコ)「どこの」
(イトウ)「たぶん、大井町あたりの」
(ミサコ)「店の名前は?」
(イトウ)「しんない」
(ミサコ)「ありがと」
三沢が愉快そうにわらいだした。
「暇な連中だ。授業中じゃないのかな」
大田が回転いすをきしませて立ち上がった。
大井町駅前には、異なる系列のチェーン店が4店舗、独立系が2店舗あった。東口のチェーン店の1店舗目で昼食をとった。直後に、店長を呼び出した。眉間にしわを寄せ、迷惑そうだったが、手帳を見せると背筋をのばした。三沢は操子の学生証のコピーを見せた。
「先週の月曜日の夕方、この子、アルバイトで来ました?」
店長は眼鏡をはずして、コピーをのぞきこむ。
「オレ、月曜はシフトじゃないけど。でも、うちは女の子は雇ってないんで」
あとの5店舗は西口側にある。品川区役所に向かう通り沿いを1店舗ずつ、潰していった。いずれも、空振りだった。二人は踵をかえした。一旦、駅に戻り、蒲田方面に線路沿いの独立系の牛丼店をめざした。三沢の足が重い。
「殺人が、合理的かどうか、分かりませんが、バイト先を知っていれば、とうぜんそうするでしょうね。犯行計画があったとしても、明るいうちではないでしょうね」
「比較は何分かかるんだ」
「結構かかります」
「それじゃ、操子のバイト先をあたるか」
と大田は大あくびをする。
「非常勤講師の平林はスポットだと言ってましたが」
「いや、それを言ったのは、土岐だ」
「でも、事件当日のバイト先のスマホ履歴がないんですよ」
「じゃ、どうする?」
「糸井という女友達に聞いてみますか?ほかの友達に聞いておくと言ってましたから」
大田は渋面をつくった。
「面倒だな。苦手なんだよ。ああいう、キャピキャピした女の子」
「いやあ、二人LINEで聞いてみます」
「なんだその、ふたりラインてえのは」
「二人だけのLINEという意味です。ふつうLINEはグループでやるもんなんです」
三沢はスマホで乗っ取ったLINEアプリにタッチした。
(ミサコ)「警察の三沢だけど、操子の事件当日のバイト先わかった?」
すぐに書き込みがあった。
(イトウ)「牛丼屋じゃないかって」
(ミサコ)「どこの」
(イトウ)「たぶん、大井町あたりの」
(ミサコ)「店の名前は?」
(イトウ)「しんない」
(ミサコ)「ありがと」
三沢が愉快そうにわらいだした。
「暇な連中だ。授業中じゃないのかな」
大田が回転いすをきしませて立ち上がった。
大井町駅前には、異なる系列のチェーン店が4店舗、独立系が2店舗あった。東口のチェーン店の1店舗目で昼食をとった。直後に、店長を呼び出した。眉間にしわを寄せ、迷惑そうだったが、手帳を見せると背筋をのばした。三沢は操子の学生証のコピーを見せた。
「先週の月曜日の夕方、この子、アルバイトで来ました?」
店長は眼鏡をはずして、コピーをのぞきこむ。
「オレ、月曜はシフトじゃないけど。でも、うちは女の子は雇ってないんで」
あとの5店舗は西口側にある。品川区役所に向かう通り沿いを1店舗ずつ、潰していった。いずれも、空振りだった。二人は踵をかえした。一旦、駅に戻り、蒲田方面に線路沿いの独立系の牛丼店をめざした。三沢の足が重い。