「ありがとう!俺、翔の絵があったらって思ってたんだ!」
「なんだよ、俺が手伝うって言うのを予想してどうしようかって言ってきたのか?」
「そんな!そんなわけないよ!」
「冗談だよ、じゃあ欲しい絵があったら言ってくれ」
それからというもの、たまに拓也が俺の元にやってきては色々な絵を頼んできた。俺は言われるがままに絵を小さな紙に
描いて渡した。特に大きな修正を依頼されることもなく、スムーズに進んだ。
「翔、ありがとう!これでもうできそうだ!」
そんなことを拓也が言ってきた。自分が描いた絵がどんな風に使われるかわかっていなかったのでそこは楽しみだった。
そしてある時、拓也が何やらたくさんの紙を持って学校にやってきた。
「ボードゲーム、できたよ!遊んでくれ!」
そう言って、一つの紙を広げた。そこには、たくさんのマスとイベントが描かれていた。
「これは、普通のすごろくみたいに遊んで良いのかな?」
友達の一人が言った。
「うん、基本的なルールは普通のすごろくと同じ。サイコロを振って、出た目に従って進んでもらうんだ。だけど、ちょっと
独自のルールがあってね。たまに、マス目に『カードを引く』って言うのがあるんだ。これが今回のオリジナルな点で、カードは
ランダムで引いていく。そのカードに書いてある指令をこなせなかったら、スタートからやり直しっていうルールなんだ!
説明は難しいからまずはやってみてよ!」
ゲームを作ってくれた本人が目の前にいるのだから、説明を最初に聞くのではなくやりながら説明を聞いた方が早いだろうと
言うことで、ゲームを開始した。メンバーは、俺と拓也、それに友人二人だ。ゲームは、何事もなく進んで行く。そして、
一定のタイミングでカードを引く機会があった。ここで、俺は自分の絵の使い道がわかった。俺の絵は、このカードに使われて
いたのだ。俺がカードを引くと、そこには指示が書いてあった。
『小数点を100桁言え』
そんなことができるわけがない。そもそも、答えだってわからないだろう。そう思っていると拓也が
「お、小数点カードだね。ちょっと待ってね」
と言って、紙を取り出した。
「ここに小数点は100桁書いてあるから、言ってみて!」
「ええ?えっと・・・3.1415926872596・・・」
途中から適当に言った。
「はい、駄目ー!スタートからやり直し!」