自分から話をしたのに、会話を終わらせるような態度をとってしまったことを清宮は後悔した。
何か話さなければと頭を働かせると、ここに来た理由を思い出した。
「それで、お兄さんは何を話してくれるの?」
「え?」
唐突な質問に海堂は驚いた。
そんなことはお構い無しに清宮はテーブルに腕を伸ばし頬杖をついた。そのまま試すような視線を送る。
「死にそうだと思った女の子を止めたでしょ?何か理由があるのかなーって」
言葉の意味を理解した海堂は腕を組む。
そんな彼を清宮はただ黙って見つめている。
「そうだな……一人暮らしなのか?」
何を話すのかと期待していたら普通の質問が来た。それに表情は変えず、清宮は正直に答える。
「そうだよ。大学がこっちにあるから、実家から出てきて今はひとり」
海堂の表情も変わらず、ただ真っ直ぐに清宮を見つめていた。
「えっと……好きな食べ物は」
次に飛んできたのは在り来りな質問だった。
「和菓子が好きかな。でも基本的に甘いものが好きだからチョコとかキャラメルも好きだよ」
初めはこんなものかと清宮はいつも答えるような言葉を並べた。
しかしその後も、
趣味は?
映画鑑賞。
特技は?
料理とか。
好きな天気は……
曇り。
同じような言葉のキャッチボールが続いた。
「えっと…これ合コン?」
テンプレートのような質問に清宮は思わずつっこんだ。
「ごめん」