清宮香乃は、そんな景色を瞳に映しながら小さな声で歌を歌う。 生きることを諦めたい。この世界から自分が消えてしまっても誰にも気づかれない世界に生きている。そんなことを歌った。 彼女にとってこの時間は特別で、唯一自分を認めてあげられる瞬間だった。ただ、それも今日で終わってしまう。 そう自分の中では決めていた。 隣から声が聞こえてくるまでは。