「俺の記事見た? もちろんデマなんだけど……おかげで家に帰れないんだよね。だからさお姉さん――」
あの記事がデマ……?
今言われるまですっかり忘れていたけれど、そういえばそのスキャンダルを見たから帰ってきたのを思い出した。
ということは、レイヤくんが誰かのものになった訳ではない? 本人が言っているのだから本当なのだろう。
私はほっとすると共に、肩の力を抜こうとした。
「――俺を匿って?」
その言葉を聞くまでは……。
今、匿ってと言った? 推しが……私に向かって?
何を言われたのか分からなくなり、私の思考回路が停止する。
「どうして……?」
「俺ん家、記者が張り詰めててさ、家に入れないの。いくらデマだって言っても信じてもらえなくて……だから、ね? ほとぼりが冷めるまででいいから、お願い!」
両手を合わせて、方目をつぶってウィンクしながら私を見てくる。――か、可愛い。
その魅力に流されそうになる。