「私ね……推しとしてじゃなくて、異性として怜也くんのことが好き……だから、怜也くんの一番の味方で、一番の推しでいてもいいかな?」

「そんなの決まってるでしょ」

 怜也くんはそう言って、一度私を離すと屈んで視線を合わせてきた。

「さとみさん、俺のものになって? 独り占めさせて?」

 私は顔が真っ赤になるのを感じながら、小さく頷く。その返事が今の私に精一杯できることだった。

「ねぇ、俺のものなら……いいよね?」

 そして、そんな私に更なる追い打ちをかけてきた怜也くんは、次の瞬間――、少し首を傾けて私の唇を優しく奪う。
 最高の推しが、私だけの(オフの時だけ)ものになった瞬間だった。

「もう、離してあげないから」

「ふっ……。それは俺のセリフだよ」

 どうやら、私の神様は私のことを手放すつもりは初めからないらしい。
 この推し活に、恋はなくてはならない存在になったのだった。

――Fin