レイヤくんが歌った歌詞は、私と怜也くんが出会ったところ、一緒に生活した時……ライブ後に感想をひたすら伝えながら帰った時……たった数週間の思い出を全て詰め込んだものだった。

「……聞いてくれてありがとうございました」

 最後に一礼する。だけど、私たちファンは誰ひとりとして動くことができず、固まっている。
 そして、レイヤくんがステージから去ろうと動き出した時、いっきにわぁ……っと歓声が広がった。
 その大きさにレイヤくんもびっくりした顔をしている。そして、後ろの観客席から次々に言葉が飛んできた。

 ――応援してる!
 ――幸せになって!
 ――そんなことで嫌いにならないよ!
 ――その恋、大切にして!

 怜也くんの恋を応援する声がどんどん広がっていく。その中に反対の声なんてひとつもない。
 どうして? ……私が他の人の立場なら許せないと思ったかもしれないのに、どうしてそんな応援ができるの?