「今度のライブ行ってくる……それでちゃんと気持ちの整理つけて終わりにする!」
口に出すと、実行しようという気持ちになれるからすごい。
ポツリと言った言葉と、その小さな決意を聞いて、由羽は笑顔で頷いた。
「うん。砕けてきな! ……いくらでも慰めてあげるから」
まさかの、砕けること前提……。1ミリでもいいから砕けない未来も想像しておいて欲しい。
「変な期待はないほうがいいでしょ?」
あっけらかんと言う姿は、もう見なれたものだった。
「そうだね。それが由羽らしい……ちゃんと報告するから待ってて」
きちんと伝えて、しっかり気持ちの整理をつけてくるから。明るい気持ちで帰ってくるから待っていて……。
私は唯一無二の親友に向かって笑顔を見せた。
「弱気なさとみはさとみじゃない。そうやって推しに一直線な方がさとみらしいよ」
力強い言葉に背中を押してもらい、私は1週間後にあるライブのチケットを手に入れた。
もちろん、自力ではもう抽選が終わっていたので、譲ってくれる人をひたすら探したのだった――。