「さとみがどれだけレイヤを好きだったかは、ずっと聞いてきたから私も知ってる。だけど、オフの時に過ごした時間はさとみしか知らないんだ」
「由羽……」
「このままでいいの? このまま“レイヤ”の追っかけもやめて、それでさとみは未練ない?」
そんなこと……、直ぐに頷くことができない。だって、未練なんてたくさんある。有り余るほど溢れている。
それは、推し活を再開したとしても減らすことはできないだろうし、むしろ増えていきそうだ。だけど、もしイベントに行って、記事に載っていたのが私だとバレてしまったら? 怜也くんともっと近づきたくなってしまったら?
だから、もう会いに行けない……。この気持ちがなくなるまでは、テレビで我慢しよう……そう思った。
もちろん、今の生活は全く楽しくない。推し活もないから仕事もやる気が出ない。もともと、推し活をするために仕事をしているのだから、仕事を頑張る意味がなくなってきている。