怜也くんとの生活や、出会ったキッカケ……チケットを貰って特等席で見たこと。色んな話をしたけれど、その中にいる怜也くんはどれも輝いていた。
 そっか……。私がこうやって見えるのは初めはただのファンだっただけなのに、一緒に暮らしていくうちに変わってしまったんだ。
 たった1ヶ月にも満たない時間だったけれど、それだけで私は異性として怜也くんに惹かれてしまった。歌い手としてではなく、人として好きになってしまった。

「ふっ……ぇ……」

 でももう、遅いんだよね。そう理解した途端、涙が止まらなくなった。目の前には由羽がいて、ファミレスの明るい席だけど止めることができなかった。
 もう、怜也くんのいない生活は寂しいよ……。そう声に出すことは許されないだろう。
 だって、私から手放してしまった。突き放すようにきつい言葉を最後に言った。きっと、怜也くんは私のことを嫌いになっているだろう。