本当はもっと一緒にいたいという気持ちもあるけれど、これ以上変な噂が立たないようにするためにも私は離れることを決断した。

「この家を出ていってくれる?」

 私の言葉を聞いて、怜也くんはハッとしたあと泣きそうな顔になる。分かってはいたけれど、怜也くんにそんな顔をさせてしまうのは私だって心苦しい。
 わざとキツく言ったけれど、本当ならこんなこと言いたくはない。それでも、このままだと怜也くんが責任を感じるだろうし、もし大事になって歌い手としての活動が出来なくなったら悲しむ人が沢山いる。
 だから私が悪役になればいいのだ。そうすれば怜也くんも、他のファンも傷つけることはない。

「そ、う……だよね。迷惑かけてごめんなさい……、今までありがとう」

 きっと怜也くんは、自分が迷惑をかけたから私が嫌いになったと思っているに違いない。もちろん私は怜也くんのファンを辞めるつもりなんて全くないのだけれど――。