――まさか、あのライブ? 私、あの日は手を繋いで帰ってきたような……?
そう考えて、ハッとする。そのシーンを記者に見られていたなんて、きっと今度は一般女性と熱愛!? なんて報道がされるに違いない。――私のせいで?
「ごめっ……」
「違う! さとみさんは悪くない!」
怜也くんはそう言ってくれるけれど、どう考えたって私のせいだ。私が軽率な行動をしたから。帽子とマスクとはいえ見る人が見ればわかってしまうだろう。なのに、手を繋いでしまったらそれは特別な関係と見られてもおかしくはない。
そんな関係じゃないと言ったって、はたから見たらそう見えてしまうのだから。
「それで、隠してもバレることだから言うけど……明後日記事に出るんだって」
やっぱり私のせいじゃないか……。あの夜、私があの時間に帰らなければ……。私が怜也くんのファンじゃなければ、違った未来があったかもしれないのに。