私の周りにいた人はきっと、みんながそう思っている。
 だけど、それでも幸せなのだ。

「そっか! じゃあ良かった〜。ちなみに目が合ったのもファンサも、気のせいじゃないからね」

「っ!? ……やばいやばいやばいっ。気のせいじゃない!? 私に向かって? どうしようもう幸せすぎておかしくなりそう」

 怜也くんのせいで、語彙力がどこかに吹っ飛んでいった。
 ライブだけではなく、帰り道でもこんなに幸せな時間が訪れるなんて思ってもいなかった。

「さとみさん、喜んでくれるかなと思って」

 もちろん喜びましたとも! 嬉しすぎて、感情のメーターが振り切れるほどに。

「怜也くん……っ。最高! 大好き!」

「ふふっ。それは嬉しい」

 さすがに飛びつきはしなかったけれど、今すぐ怜也くんに飛びついてもいいくらいの感情だ。だから、その代わりに私は握られた手を強く握り返した。

◇ ◇ ◇

 幸せな時間はあっという間で、ライブの日から2週間が過ぎた。