その欲求に負けて手を伸ばそうとした時、私の身体がふわりと浮いた。

「は? えっ……!?」

 次の瞬間には私は怜也くんに引き寄せられて、抱きしめられていた。

「れ、怜也くん……!? これはなんのプレイ!? 私、私は――」

「スゥースゥー……」

 ドキドキと速くなる心臓を必死で抑えながら、怜也くんの匂いを嗅ぐ。

 ――あぁ、いい匂い……。

「って、そうじゃない!」

 自分でツッコミを入れながら冷静に考えられるように頭を整理する。
 怜也くんは気持ちよさそうな寝息を立てている……、そして私を抱きしめている。――つまり怜也くんは、私を抱き枕にご所望なのかっ!
 そう理解した私は、上半身だけではなく、自らソファーの上に上がり怜也くんの腕の間にすっぽりと収まった。少し狭いけれど問題はない。
 望まれているのだから、これは不可抗力だ。私には避けられない道!
 そう自分に言い聞かせて、バクバクする心臓の音を聞き、嬉しさに身を踊らせながら目を閉じた。

「大好きな人に包み込まれるなんてとても幸せ……」

 これは、私だけの秘密にしようと心に決めた。