それから私は満足するまでそのチケットを拝み続け、当日はどんな服装で行こうかとか、どのグッズを持って行き、何を買おうかとかひたすら考え続けていた。
 だけど、楽しいことを考えている時間はあっという間で、気づいた時には結構な時間が過ぎていた。

「はっ……ごめん! こんな時間……?」

 顔を上げてみると、とてもリラックスした顔が目に入る。

「スゥースゥー……」

「ね、寝てる!?」

 目を閉じて、穏やかに寝るその顔はとても幸せそうだ。私が放ったらかしすぎて飽きてしまったのだろう。だけど、だけど――。

「はわゎゎ――っ! こんなに無防備な寝顔が……っ」

 どうしてこんなに無防備な姿を見せてくれるの? まさかのご褒美……!?
 私はこの絶好の機会を逃すまいと、寝息を立てる怜也くんをじーっと観察した。
 長いまつ毛と、やわらかそうな唇……。少し目にかかっている髪はふわふわしている。――どうしよう、触りたい。