私のカタコトの言葉にも律儀に答えてくれた怜也くん。ありえないと言っているのを聞いて、私は心から安心することができた。
良かった……。私の怜也くんは何も変わっていない。
「さとみさんは、俺に彼女ができたわけじゃないと分かって嬉しい?」
「もちろん! 推しが幸せになるのは嬉しいけど、そのせいで活動しなくなるのはもっと嫌だから」
「ふふっ、そっか」
それならもっと頑張らないとねと、怜也くんは納得したように頷いた。
怜也くんが今まで通り活動してくれるのはとても嬉しい。
記者が自宅に張り込んでいるとはいえ、何もないのならこれ以上広がることもなく、デマだったのだと納得されるだろう。
でも――、あれ? 今の状況……まずくないか?
匿うという名目があるとはいえ、異性の家に転がり込んでいる。記者には見つかっていないけれど、もしここが見つかったら?