「えっ? なんでそこ? 俺の隣来なよ」

「いやいやいやいや、そんな恐れ多い……! 私なんて床で充分!」

「いや、でも……」

 私が怜也くんの隣に座れるはずがない。そんなことをしたら、心臓が口から飛び出てしまう。ただでさえ、同じ空間にいて私の部屋にいるだけでも嬉しいのに、その上隣に座るなんてことできるはずがない。

「それより、怜也くん! ……あの記事のこと聞いてもいい? さっきデマって言ってたけど、写真あったよ? 隣に写ってた人はだれ?」

 デマという話は信じたけれど、記事が出た以上あの写真は本物ということになる。つまり、怜也くんが女性と二人きりになっていたということはきっと事実だ。
 私はここにいるなら教えてもらうよと意気込んで聞いてみた。

「あれは、俺の姉貴。こっち来たから泊めろって言われて泊めたんだ」

 躊躇することもなく、さらりと教えてくれた。

「お、姉さん……?」

「そう」

「恋愛感情はない?」

「あるはずないよね」