「レイヤくんの手が……手が……」

「お姉さん?」

「はぅぅ……、もうお風呂入れない……」

「いや、そこは入ろうよ」

 レイヤくんに腕を握られたまま、家に向かって慣れた道を歩き続ける。私の独り言を律儀に拾ってつっこんでくれたけれど、私は家につくまで、この触れられた部分をどうにか保存できないかとひたすら考えをめぐらせていた。