私が襲うとは微塵も思われていないということで、ちょっと複雑な気持ちになる。確かに私は、眺めているだけで幸せなのだから手を出すなんてこと絶対にしない。

「俺に嫌なことをしない人だといいなぁ……」

 レイヤくんを匿うなんて、私にそんな恐れ多いことができるはずがない。というか、そんな無条件に私を信用してくるのはどうかと思う。レイヤくんが変な人に引っかからないかとても心配だ。
 きっと、レイヤくんも私がそう思うのを分かっていてわざと言っているのだから意地が悪い。

「あぁ……もう、分かったから!」

 私にはこれ以上、レイヤくんの視線から逃れられなかった。ファンだからとかは抜きにしてもこんな悲しそうな瞳を見て、見捨てることなんてできなかった。
 先に負けを示した私を見てレイヤくんは、パァーっと顔を輝かせる。

「少しだけだからね」

「うん、お姉さんありがとう。俺、何でもするから」