俺は……一体何をやっているんだっけ?
 頭がぼんやりして、上手く思考が働かない。自分が何をしているのか、よく分からない。神崎さんは、その姿を見て愕然としていた。
 まさか俺に拳銃を向けてくるなんて思わなかったのだろう。

「やめろ。立花目を覚ませ!! 赤羽。お前……立花に『華の雫』を使ったな!?」

「フフッ……大丈夫。数滴だけだよ。それに彼は俺の弟なんだから。どのみち、こうなる運命だ。さぁ駆。あの邪魔者を消してやりなさい。彼は君にとって邪魔な存在だ!」

「……邪魔な……存在?」

「やめろ。立花アイツの言葉に耳を傾けるな!! 赤羽は、お前の血の分けた兄じゃない。全くの嘘だ。そんな奴の言うことなんて信じるな!!」

 嘘……? だって彼は、俺の兄だって。
 俺には赤羽の血が流れているって……言っていたし。
 あれ? でも、何で……消さないといけないんだっけ?

「邪魔をしないでくれよ? この子を正統な赤薔薇会の一員として育てないといけないのだから」

「何が正統な赤薔薇会の一員だ!! そんなのは俺が認めない。立花。惑わされるな。お前は、教師になる夢があるんだろ? それにお前は、俺のバディだ。俺のそばに居ればいいだろ!!」

 神崎さんのそばに……?
 両方の言い分を言われる。だがどちらを信じたらいいか、俺には分からない。
 それに……何か引っかかる。

「……まだ少し意識があるか。駆。言ったよね? 彼は全て知っていて、お前を雇ったってさ。現に君が俺の弟だと聞いても、それに対して動揺してないだろう? 彼に騙されるな。彼は、君を利用しようとしたんだ。君のことなんて見ていない」

 俺を利用しようと……した?

「ち、違う。確かに……気づいていたが。俺は、お前を何よりも大切に思っている。
お前をそちらの道に行かせたくなくて……だから」

「戯れ言を……。いいかい? 駆。彼にとって赤薔薇会は宿敵だ。もっとも大切にしていた伊波君を自殺に追い込んだ憎い相手。そんな奴が赤羽の血を引く、君を大切に思うかい? 憎いはずだ……復讐をしたいほどに」

 復讐……? そうか。神崎さんを俺を使い復讐する気だったんだ。