違う、違う。そんなの信じない。信じたくない。
 俺は、必死に否定する。しかし赤羽は、さらに不敵な笑みを溢す。

「嘘だと思っているのだろ? 本当だよ。これが証拠だ。父の細胞と君の髪の毛をDNAしたら99%だった。間違いなく実の親子だと判明されたよ。よく見てみてよ」
 赤羽は、俺にDNAの紙を見せてきた。そこには、99%という数字がハッキリと書かれていた。そんな……。
俺が赤羽の血を引いているなんて。あまりのショックで頭が真っ白になっていく。
「最近のDNAは、より正確に判断してくれのは君も知っているだろう? 会いたかったよ。俺の可愛い弟君」
 赤羽は、そう言いながら俺を抱き締めてくる。ゾクッと背筋が凍る感覚がした。
 そのぬくもりさえ気持ち悪いとも思った。

「や、やめろ」

 力が入らない身体を使い否定する。施設に居た頃は、自分の捨てた両親に会いたいとは思った事はあった。兄弟だって居たら、どんなに良かったとか。
 何度もあったけど、これほど嫌だと思ったのは生まれて初めてだった。
 違う。俺が欲しかった兄弟は、こんな奴じゃない。
 赤羽と同じ血なんて……俺が引いている訳がない。きっと罠だ。
 陥れるための。必死に頭の中で自分に言い聞かした。
しかし、赤羽はそんな俺を見ながらクスクスと笑ってきた。

「どんなに否定しても無駄だよ。君の中に赤羽の血がより濃く受け継いでいる。そのことは神崎君だって知っているはずだよ?」

「か、神崎さんが!?」

「あぁ、あの情報屋のリカコが居るのに知らない方がおかしいだろ? 君の個人情報は全て、神崎君が把握している。僕と同じ憎き血が流れているのにも関わらず君とバディを組んだのは何故だろうね? それは簡単だよ。一つは君が、いずれ俺に接触して悪さしないように監視すること。そして赤薔薇会の復讐に燃えてる彼は君共々、赤薔薇会を消滅の機会を狙っている」

 神崎さんが俺を監視している!? しかも消滅の機会って……。
 違うと言いたいのに言葉が出てこない。聞きたくないのに赤羽の言葉が俺の心を揺さぶる。