「先輩は、君を危ない目に遭わせたくないんだ。君は、まだ学生だし、俺も刑事としてそれが心配だ。あまりこの事に首を突っ込まない方がいい」

 何だよ、瀬戸さんまで!?
 神崎さんのお父さんである警視総監も同じ事を言われたし、神崎さん自身もそれを望んでいない。
 まるで俺が頼りなく何も出来ないみたいに言われたようで悔しかった。
俺だってやれるのに……。
 確かに何か才能がある訳でも頭脳も体力や強い訳でもないけど俺だって、何か役に立つかもしれないのに。

「俺は、俺のやり方で神崎さんを支えます。伊波さんの代わりぐらいなれますから」

「立花君!?」

 同じ事を言われたショックや腹が立って、そのまま定食屋から飛び出してしまった。そういうところが、まだガキくさいのかもしれない。
 でも……それでも俺だって神崎さんの役に立ちたいんだ。
 涙が溢れそうになるのを必死に我慢した。しかし赤薔薇会の侵略は、明らかに俺の人生を蝕むように進んで行くのだった……。

 新たな事件が起きていた事を俺は、この時は知らなかった。
 賑わう街の何処か遠くからライフル銃を撃つ音が聞こえてくる。

「組長!?」

「大変だ。組長が撃たれたぞ!!」

 特殊なライフル銃による殺人事件が発生した。撃たれたのは、ヤクザの組長だった。騒ぎになる中、数キロ先のビルの屋上で、その現場を覗いている男。
 その男は、PCウォッチのテレビ電話をしながらニヤリと不敵の笑みを溢していた。

「無事に撃ち殺しました。ありがとうございます。俺に悪い奴らを殺す機会を与えて下さって。赤根さん」

『ご苦労様。どうだった? 人を殺した感想は?』

「最高です。だって悪人を倒したんですよ? 俺……本物の勇者じゃないですか」

 まったく詫びれる様子はない。むしろ誇らしげに語っている。

『そうか……それは良かった。君ならその特殊なライフル銃『ガンマンO一』が扱えると信じていたよ。 そうさ、今日から君がヒーローだ。ゲームでもなく漫画でもない悪人を殺す正義の主人公。次も期待しているよ』