「立花君。先輩は、君を大切に想っているんだ。だから時限爆弾のことや他の事件に巻き込まれて、また失うのを恐れている。伊波先輩もそれで命を落としたからね」

「あの……伊波さんは、自殺なんですよね? ある事件がきっかけで、精神的に病んで自殺したって」

 俺がそう言うと瀬戸さんは、驚いた表情をする。そして複雑そうな表情に……。

「何処からその情報を知っているだ?」

「あ、あの……俺……伊波さんの弟さんと知り合って。それで彼から聞きました」

 瀬戸さんなら言ってもいいよね?
 伊波君には言うなと言われたが、他の人には言っていないし。それに口から吐き出したかった。行き場のない思いを……。
 その言葉を聞いた瀬戸さんは、さらに驚いていた。

「伊波先輩の弟さんだって!? 伊波涼太……って言ってたのかい?」

「はい。その伊波涼太君です」

「そうか……伊波先輩の弟に会ったのか。伊波先輩に弟が居るのは、知っていたけど直接会ったことはなかったんだよな。確かに……彼は自殺だった。先輩も凄く落ち込んでいた」

「その事件って何ですか? やっぱり赤薔薇会の仕業なんですか?」

 伊波さんの死の真相を知れば、もしかしたら神崎さんの力になるかもしれない。
 そうしたら、またきっと……。
すると瀬戸さんは、複雑そうな表情をしていた。

「伊波先輩は、もっとも大切にしていた人を失ったんだ。ひき逃げだったらしい。
多分そのひき逃げしたのが赤薔薇会じゃないかって噂が流れたんだ。そのせいで伊波先輩は酷く落ち込んでしまって病んでしまったらしい」

 もっとも大切にしていた人? 恋人かな? いや、それよりもひき逃げって……。
 もし赤薔薇会だったら神崎さんも許せないはずだ。それで伊波さんが病んで自殺したのだから。
 やっと赤薔薇会に対する神崎さんの真相が分かった。だから、あんなに憎んでいたのか……。
 俺は、改めて赤薔薇会が許せないと思ったし、なおさら神崎さんを支えたいと思った。
しかし瀬戸さんは、それをあまりいい風には思ってないようだった。

「立花君。俺も先輩と同意見で、あまり事件には関わらない方がいいと思うよ?」

「な、何でですか!?」