衝撃的な一言に俺の頭の中は、一瞬真っ白になった。いきなりクビを宣告されてもどうしたらいいか分からないし、納得もいかない。

「な、何でですか!? 俺……何かしましたか? いきなりクビとか納得がいきませんよ。理由を教えて下さい」

 もしかして今日のことを気にしているのかな?
 神崎さんは責任感の強い人だし俺が危ない目に遭ったから心配して……。

「今回の件でハッキリした。お前は、バディとして俺とやって行くには不十分だと。伊波とならもっと効率よく上手くやっていただろう。お前は、まだ学生だ。自分の生活を大事にしろ」

「俺は、大丈夫です。これからもっと神崎さんのバディとして相応しくなるように
努力をしますし、やる気もあります。だからそんなことを言わないで下さい!」

 俺は、まだまだやれる。だからそんなことを言わないでほしい。
 しかし神崎さんは、冷たい目で俺を見る。

「悪い。お前とは、これっきりにしてくれ」

 冷たい言葉なのだが、何処か悲しげに俺には聞こえた。
それ以上言葉が出て来なかった……。
 そのまま神崎さんは、バイクを走らせ行ってしまった。俺は、ボー然としながらその後ろ姿を見送る。何故だろう?

 俺達は、ちゃんと乗り越えてきた。なのにバディとして結局認めてくれなかった。 ただのバイトだから……?
 自分の中のやるせない気持ちに胸が痛くなる。涙が溢れて目の前が真っ暗になっていくのを感じる。
 明日には、きっと元に戻っている。きっと今日の疲れで、気がおかしくなっちゃったんだ。きっとそうだ……そうに違いない。
 そう何度も自分に言い聞かすのだった……。