「……立花。何故そいつが自殺だと知っている? 俺は、お前に伊波の話をしたことはないぞ」

 鋭いツッコミにドキッとした。や、ヤバい。
 伊波さんの弟さんに会っていることに気づかれてしまう。
 秘密にしてくれと言われているし、もし弟さんのことを知ればきっと今以上に辛い気持ちになるはず。

「あの……警視総監……神崎さんのお父さんから聞きました。この前会った時に」

 俺は、咄嗟に嘘をついてしまう。何だか余計に胸がチクチクと痛くなってきた。

「そうか……父さんが。あ、それよりも大変なことになったぞ!」

「えっ……?」

 俺は、神崎さんがやっている時限爆弾のコードを見てみると他は、いくつか切っていたが残りの赤と白の2本がコードが残されていた。
 ま、まさか……どちらかを間違えて切ると爆発するとかじゃないよな?

「赤と白ってそんな……どっちだよ?」

「このどちらかを切れば時限爆弾が止まる。しかし間違えるとそのまま爆発するだろうな。どうする……どちらを切る?」

 どちらかって言われても……。
 そんな重要な選択肢を言われても決められない。赤……? いやいや白かもしれない。悩めば悩むほど分からなくなっていく。うーん。
 すると神崎さんは、ため息を吐くと諦めたかのように足を崩し座り込んでしまった。神崎さん?

「立花。お前が切れ。もし間違えても俺は、一切お前を恨んだりはしない」

「ですが……」

「……恨める訳がないんだ。こうなったのも俺が全て原因なんだし」

 随分と弱気になっていく神崎さん。どうしちゃったんだよ? 神崎さんらしくない。いつも冷静沈着で先の先まで考える人なのに。
 俺は、神崎さんの弱弱しい態度に困惑する。何よりもこういう時こそ張り切って指導してくれそうなのに……。

「諦めないで下さい。俺達はまだ助かるチャンスはあります。どちらかを切ればいいんですからお互いに意見を出し合って決めたらいいんですよ。だって俺達もバディなんだし」

「……バディ?」