バイクを端っこに寄せると止める。そして

「リカコさん。すまない……引き離された。だけどナンバーは覚えた。あと方向から検索して隠れやすそうな場所を割り出してくれ」

 インカムで、すぐにリカコさんと連絡を取り居場所を突き止めようとしてくれた。
 その行動力に俺は、唖然とする。そしてリカコさんも凄い。数少ない情報と車のナンバーと居た居場所から的確に特定する。
 犯人は、川沿い近くにある古くサビれた倉庫に行った可能性が高いと連絡がきた。
 すぐに俺達は、その場所に向かう。見えてきた。確かに古くサビれた倉庫だった。
 だが近くに電車は、通っておらず移動でもしたのだろうか?

「立花。お前は、外に残り隠れていろ。ここからは俺1人で行く」

 神崎さんは、そう言うと上着から拳銃を取り出してみせる。
 け、拳銃!? いつの間に……。あ、でもいいのだろうか?
 神崎さんは、元刑事だから拳銃の扱い方も知っているだろうけど、今は刑事じゃない。もし撃ったりなんかしたら……捕まるのでは?

「大丈夫なんですか!? 拳銃だなんて、もし撃って何か遭ったら捕まりますよ。それに危険ですよ……1人だなんて。大人しく瀬戸さんを呼んで来るまで待った方がいいですよ」

 いくらなんでも危険過ぎる。犯人は、何人居るか分からないし万が一、大勢で狙われたりしたら……。
 不安そうにしていると神崎さんは、クスッと笑い俺の頭を撫でてきた。えっ?

「心配するな。俺は、拳銃の腕も上手い。それに怪しい。まるで俺達を呼び寄せるように静かだ。場所も思ったより割り出してやすかったし……」

 するとその時だった。女性の悲鳴らしき声が倉庫の中から聞こえてくる。
 ま、まさかユミカさんが!?
 神崎さんは、拳銃の引き金を引くと舌打ちをする。

「チッ……立花。いいな? 絶対に中に入るなよ」

「神崎さん!?」

 それだけ言うと神崎さんは、拳銃を構えて中に入ってしまう。
 ど、どうしよう。とにかく瀬戸さんに連絡をした方が……。
 俺は、慌ててPCウォッチを使い瀬戸さんに電話する。しかし、いくらかけても電話に出ない。何で出ないんだ?
……もしかしてまだ警察は、バイクを追いかけているのか?