ちなみに警察の人も何人か変装して公園に潜んでいるらしい。
 神崎さんは、犯人の追跡をするとか言って近くの喫茶店で待機をしていた。
 お互いに連絡を取れるようにPCウォッチ用のインカムをつけた。
しかし何か大変なことは、全て俺任せなような気がするのは、気のせいだろうか?

 そんな風に考えていると母親のPCウォッチが突然鳴り出した。犯人か!?
 二階堂ユミカの母親は、テレビ電話に出る。しかし、しばらく黙って聞いていると思ったら途中で慌てたように、そのまま逆方向に走り出した。
 えっ? ちょっと……!?
 俺も慌てて追いかけるとその母親は、慌てていたため同じ形のカバンを持った男性とぶつかってしまった。2人共は転んでしまう。
 手放したためカバンは、どちらか分からなくなってしまう。

「すみません。大丈夫ですか?」

「あ、はい。こちらこそ、すみませんでした」

 二階堂ユミカの母親は、慌てて起き上がると近くにあったカバンを持ち急ぎ足で駆け出した。えっ? と思い急いで母親を追いかける。
 だが、すぐさま母親は道路に向かってカバンを差し出した。
 すると、2人乗りのバイクが走ってきてカバンをかっさらって行く。一瞬の出来事だった。まさかの展開に驚いてしまった。

 お、追いかけないと。しかしどうやって!?
 いくら俺が足が速くてもバイクに追いつける訳がないし。
 どうするか迷っている間に他の刑事の人達は後を追いかけるため、仲間を呼んでいた。するとインカムから声が聞こえてきた。

『立花。お前今、何処に居るんだ!?』

「えっ? 道路沿いです。えっと……少し行けば赤い橋が見えます!」

『あそこか。分かった、すぐに行くからそこで待っていろ』

 神崎さんがそう言うと一方的に通話の電源を切ってしまった。
 しかし分もかからない内に神崎さんは、バイクに乗ってきた。
 えぇっ? バイク!?
すると神崎さんは、ヘルメットを投げてきた。慌ててヘルメットを受け取る。

「こんな時のために用意しておいた。バイクの方が小回りが利くからな。乗れ。まだ間に合う。犯人達を追いかけるぞ!」

「は、はい」