慌てて止めている俺らに酷いことを言ってきた。はぁっ? 何だよ……それは。
 探偵を馬鹿にするのは、神崎さんを馬鹿にされたようで我慢ならなかった。

「その犯罪に手を染めたのは、あなたのお孫さんですよね?」

「うっ……」

「確かに警察や探偵は、完璧ではない。だけどあなたのお孫さんは、それが分かっていながら人を陥れるために人一人殺したんですよ? あなたのお孫さんも処罰の対象になるんです。それを理解しているんですか?」

 それを分かっているのだろうか? 思わず強い口調で反論してしまった。

「だがアレは……ユミカは、そそのかされただけで」

「例え悪い組織にそそのかされたとしても、犯罪をした事には変わりませんよ!」

 俺は、キッパリと否定をした。孫娘を可愛がる気持ちは理解は出来るが、甘やかしていい理由にはならない。犯罪は、犯罪。
 間違いを犯す前に家族が止めるべきだった。その責任は家族にもある。

「犯罪を犯したとしても今は、被害者なのも事実。お孫さんは、俺達が必ず取り戻しますから信用をして下さい」

 神崎さんは、付け加えるようにそう言った。
 その言葉に俺も胸が苦しくなった。そう……助けてユミカさんには、罪を償ってもらいたい。家族のためにも。
 二階堂ユミカの祖父は、それ以上何も言わなかった。それはそれで心苦しいが仕方がない事だ。

 そして次の日。また電話が鳴り二階堂ユミカの母親がお金の入ったカバンを持って行くことになった。指示を出された隅田公園に向かう。
 隅田公園は浅草側にある公園なのだが、花見の名所となっている。隅田川沿いにあり、夏には花火大会もあるので有名だ。
 コーヒー ショップや遊び場があり年配の方や子供など、散歩やジョギングコースとしても人が多い。
 本来ならツカイツリーを眺めながら散歩したり、休憩したいところだが今回は、そういう訳にはいかない。
 俺は、ウオーキングするふりして後を追う。