結局。エレナちゃんの様子を考えて田辺さんが2分ぐらいの休憩になった。
 エレナちゃんの今の気持ちを考えると複雑だったが彼女は、やると言ってくれた。
 そしてある作戦を開始した。20分後。

「大変です。エレナちゃんの様子が変なんです。話をしていたら急に様子がおかしくなっちゃって……」

 俺は、慌てたようにスタジオに入ると皆に聞こえるほどの大声でスタッフやモデルの人達に伝える。

「何だって!?」

 慌てて田辺さん達は、控え室に駆け寄る。
 エレナちゃんの控え室に着くと思いっきりドアを開けた。するとエレナちゃんは、控え室の物を壊して滅茶苦茶にしているではないか。

「どういう事だ……これは!?」

「エレナ!?」

 モデルの子達も動揺をしていた。田辺さんも……。
 よし。これで犯人である田辺さんがキーワードを口に出してくれたら……。
俺は、そう思った。するとエレナちゃんは、近くにあった椅子を振り回し始める。
 細い腕を必死に動かしながら周りを混乱させる。

「キャアッ!!」

「やめなさい。エレナちゃん!?」

 攻撃的になるエレナちゃんに慌ててリカコさんが止めようとした。だが彼女はやめようとしない。
 すると二階堂ユミカは、どんどん顔色が真っ青になる。

「な、何なのよ!? エレナ。ア……アロマよ。アロマ……いいから黙って大人しくしなさい」

 犯人のはずの田辺さんは、何も言わずに、二階堂ユミカが何度もキーワードを連呼する。えっ……? 何で?
 何故田辺さんではなくて二階堂ユミカなのだろうか?
するとエレナちゃんの動きが止まった。エレナちゃん自身も驚いた表情をしていた。
 それもそうだろう。俺も彼女も田辺さんが犯人だと思っていたからだ。

「ユミカちゃんが……何で?」

「えっ? エレナ……あんた」