翌日。俺は、またリカコさんのアシスタントしてエレナちゃんと一緒にスタジオに行くことにした。神崎さんは、後で同行するらしい。
 スタジオに入るとスタッフやモデル仲間が心配して駆けつけてくれた。

「エレナ。大丈夫なの……身体の方は?」

「えぇ、心配をかけてごめんなさい。完全じゃないけど……大分良くなったわ」

「それならいいんだけど元気出してね?」

「ありがとう」

 エレナちゃんは、お礼を言い笑顔を見せる。
 しかし仕事の方になると、やっぱりぎこちない笑顔のため、なかなか上手く行かなかった。無理もないが……。

「エレナちゃん大丈夫かい? 少し休憩しようか?」

「……はい。すみません」

 出来ない自分にしゅんと落ち込んでいた。俺は、心配しながら黙ってそれを見ていた。
 すると、またあの女性が嫌味を言うために近付いてきた。二階堂ユミカだ。

「ふん。よく来れたものね? 自分の男が自殺したと言うのに……案外図太いのかしら?」

「ユミカちゃん……」

「本当スタジオで死んだとか冗談じゃないわよ。あんたもよく平気で居られるわね。私なら悲しくてモデルなんてやっていられないわ。それとも遊びだったから別にどうなっても良かったのかしら?」

 まるで挑発するようにワザとそう伝えてくる。エレナちゃんはそれを聞くと、また顔色が悪くなっていた。
 酷い……落ち込んでいる人に対してそんなを言い方して。
俺は、不愉快な気持ちになっているとリカコさんが呆れたようにため息を吐いて

「ユミカちゃん。あまりエレナちゃんを刺激しないでちょうだい。仕事に支障が出るわ」と二階堂ユミカに注意をしてくれた。
 彼女は、ふんっとそっぽを向くと行ってしまった。
 何だかスタジオまでもがギスギスしているし、重苦しい雰囲気になってしまう。
 エレナちゃん……大丈夫かな? と俺は心配になっていた。