「あの……何かあったんですか?」
「それが、人が死んでいたらしい。掃除のおばさんが発見したとか」
「えっ……!?」
Bスタジオの男子トイレで殺人事件!? 何故下のBスタジオ?
トイレの方向を見ると確かに清掃の年配の女性がガタガタと震えて座り込んでいた。顔色は、真っ青だった。他の女性スタッフの人がその女性を支えていた。
俺達は、強引に中に入って行く。そうしたら本当に最悪な状態になっていた。
マネージャーの伊藤さんは、腹部をナイフで刺された状態で遺体となっていた。
俺は、動揺していた。遺体を見るのも初めてだが相手が伊藤さんだったから余計に。そんな……少しの間でこんな事が起きるなんて。
神崎さんは、すぐに何も言わずに伊藤さんに近づき首筋を手を置いた。脈を測っているのか?
「どうですか?」
「ダメだ。死んでいる」
そ、そんな……!? せめて少しでも脈があったら、すぐに救急車に運べば
助かったかもしれないが、どうやら無駄のようだった。
俺は、ショックで身体がガタガタと震えた。すると遅れて警備員達が駆けつけてきた。
「退いて下さい。何ですか? あなた達は!?」
「探偵の者です。すぐに警察を呼んで下さい。彼は、もう亡くなっています」
神崎さんは、冷静に警備員に警察に電話するように指示を出した。
警備員は動揺していたが、すぐに電話で連絡をしてくれる。
しばらくして、知らせを聞いた警察は駆けつけてくれた。瀬戸さんも一緒に。
遺体となった伊藤さんを引き渡していると、その情報を聞いたエレナちゃんとリカコさんが慌ててこちらに向かってきた。
「伊藤さん!! やだ……そんなの……嫌っ……」
かなり動揺しているエレナちゃんは、その遺体を見ると、気絶するように倒れてしまった。エレナちゃん!?
慌ててリカコさんが抱きかかえてくれたから倒れずに済んだが気絶をしたままだった。あまりにもショックだったのだろう。恋人同士だったのだし。
俺は、何とも言えない気持ちになる。犯人を見つけ出す事が出来なかった。
胸がズキッと痛む思いをした。