内部に犯人が……!? 神崎さんの言葉に驚いたが確かに。そう考えた方が妥当だろう。そうなると誰が?

「ただの脅迫ならいいが。本当に命を狙っていたら不味い。お前は、辻エレナだけではなく、伊藤さんにも目を配ってやれ。俺は、瀬戸に言ってこっそり警備をしてもらえないか伝えておく」

「は、はい。分かりました」

 これは、思った以上に大変なことになってしまった。内部の犯行だと警備しにくいからだ。当たり前に近くに居る人だと警戒されにくいため見逃しやすい。
 神崎さんが瀬戸さんに電話をしている間に俺は、控え室に先に戻った。取り合えずエレナさんと伊藤さんから目を離さないようにしないと。
 控え室に戻ると居たのは、エレナちゃんとリカコさんの二人だけだった。

「あれ? 伊藤さんは、どちらに?」

「あら、伊藤さんなら。さっき電話がかかってきたから出ながらトイレに向かって行ったわよ?」

 トイレ!? リカコさんの言葉に俺は、しまったと思った。何事もないならいいが伊藤さんは、命を狙われている。もしここに犯人が居たら彼の身に危険が……。
 俺は、慌ててAスタジオの男子トイレにある方に向かった。
 どうか無事で居てくれ!?
 急いでAスタジオのトイレに向うが……あれ? 居ない?
近くのトイレならここを使うはずなのに彼の姿は無かった。なら何処に?
何だか嫌な予感がする。俺は、トイレから出ると他の場所を探そうとする。
 すると電話を終わらせた神崎さんから声をかけてきた。

「立花。どうした?」

「あ、神崎さん。実は、伊藤さんがトイレに向かったらしいのですが居なくて」

「何だと!?」

 神崎さんが驚いた瞬間だった。離れた場所から女性の悲鳴が聞こえてきた。
 まさか!? 一番最悪な状態を思い浮かんだ。すぐに神崎さんも危険を察したのか慌てて向かう。俺も急いで神崎さんについて行く。
 階段を使い悲鳴を聞こえた場所に向かうと一階下のBスタジオだった。たくさんの野次馬の人達が居る。俺と神崎さんが人混みをかき分けて入って行くと、もう一つある男子トイレだった。