「ねぇねぇ、今の撮影どうだった? 上手く撮れてた?」

「あぁ、上手く撮れてたよ。綺麗だった。次も頑張っておいで」

「は~い」

 マネージャーの伊藤さんがそう言うと笑顔で返事をすると行ってしまった。
 やっぱり可愛いなぁ……と内心ニヤニヤしていると、ある人物がこちらに来る。あ、あの子は……。

「何あれ? 周りに愛想を振り回って馬鹿みたい。媚びるぐらいなら、もっと自分の腕を磨きなさいよ」

 そう言って嫌味を言ってきたのは、エレナちゃんの次に人気が高い二階堂アユカだった。彼女の発言の驚いてしまう。
 うわぁ~エレナちゃんとは、また違った美人だけど、性格がキツそうだなぁと思った。すると急にこちらを振り返ってくる。俺と目が合うと睨んできた。

「あなたは、見ない顔ね?」

「あぁ、私のアシスタントの立花ちゃんよ。で、あっちが新人モデルの神崎ちゃん。今日は、見学に連れて来たのよ」

 俺と代わりにリカコさんが自己紹介をして説明してくれた。二階堂アユカは、怪しむように、こちらをジロジロと見てきた。もしかして気づかれたか?
 内心ビクビクしていると彼女は、フンッとそっぽを向いて立ち去って行く。
 俺は、驚いて何も言えなかった。怖かった……。随分とエレナちゃんとタイプの違う子だな。見た目はショートカットで背が高くスタイルもいい。エレナちゃんがゆるふわ美少女なら彼女は、対照的なボーイッシュの美人だろう。

「立花さんすみません。あの子……普段からあんな感じなんです。 特にエレナをライバル視していて何かあると突っかかってくるので」

 伊藤さんが代わりに謝罪をしてくれた。気にしないで下さいと答えながらも芸能界の裏の顔を見たように感じた。
 それから無事に撮影が終わると控え室で休憩をする事になった。あ、そうだ!
 待っているのも何だし何か飲み物でも買って来よう。自分も喉が渇いたし。

「あの……良かったら飲み物を買ってきましょうか?」

「じゃあ私、オレンジジュースがいいわ。果汁1OO%のやつ」

「はい。分かりました!」

 エレナちゃんの注文に返事をして控え室から出て行く。飲み物を買うついでに周りを警備でもしよう。まぁ、スタジオなら安心だと思うが何があるか分からないし。