不思議に思っていると警視庁に着いたようだ。駐車場まで行くと降ろされた。そして中に入る。す、凄い……本物の警視庁だ!?
 ドラマで見た事があるが、本物の警視庁は大きくて迫力が違う。内装も綺麗で人気マスコット人形が飾られている。何もかも初めてでドキドキして余計に緊張してしまう。
 エレベーターに案内してもらい、最上階に行くと男性秘書らしき人が居た。
頭を下げてきたので俺は、慌てて頭を下げる。

「どうぞ。こちらに……」

 一条さんから男性秘書に引き渡されると警視総監室に案内された。いよいよだ。
 ドアの前まで来ると男性秘書がノックをする。

「神崎桃哉様と立花駆様をお連れしました」

「……入れ」

 中から低い声が聞こえてきた。男性秘書がドアを開けて中に通してくれた。
心臓が飛び出しそうになるぐらい緊張しながら中に入るとその人物に驚かされた。
 この人が……警視総監?
 立ち上がってこちらを見ている人物が現在の警視総監なのだが、背が高くスラッとした体型。そして白髪交じりの髪に白いヒゲ。しかし顔立ちが神崎さんを老けさせた感じで、よく似ているではないか。えっ……あれ?
 すると警視総監は、こちらをジロッと睨み付けるように見てきた。思わずビクッと肩が震える。

「……随分と派手にやっているそうではないか? 桃哉」

 えっ? 桃哉……? すると隣に居た神崎さんは、フッと笑った。

「別に……派手にやっているつもりはないのですけどね。父さん」

 と、父さん!? え……じゃあ、もしかして警視総監って神崎さんのお父さん!?
 意外過ぎる真実に俺は、言葉にならなかった。
 神崎さんは、元刑事なのは聞いていたけど、まさか警視総監の息子さんだったなんて初耳だ。ということは、凄いお坊ちゃんってことになるじゃないか。
 あ、だからか。あのお店が不定期に営業したり神崎さんのお金の使い方が凄いのにやっていけるわけが!
 警視総監の御曹司なら納得だ。何故か俺は、冷静に分析を始めた。

「それよりどういうことですか? 父さん。何故俺だけではなく、立花まで?
彼は、ただのバイト。責任は、店長の俺にありますし、わざわざここまで連れて来る必要はないですよね?」