向こうも大声を出して怒鳴るので俺は、慌てて謝った。神崎さんのせいだ!
うん? しかし何だか犯人は、落ち着きがないというか焦っているようにも見えた。犯人の手がガタガタと震えているし顔色も悪い。どうして……?
 警戒しつつも様子を探った。相手は、拳銃を持った3人。下手に動いて人質の人達に発泡されたら大変だ。
 しばらくすると犯人達は、用意をされたお金を大急ぎでカバンに詰め込んでいた。

「やった…これで助かる。殺されずに済むぞ!」

「おい、川……じゃなかった山崎。余計な事を言わず計画通りにやれ」

「分かっている。というか、いちいち指図するな」

「いいから言われた通りにやれ。山崎、戸田」

 あれ?どうやら犯人達は、特別仲がいいと言う訳では無さそうだ。むしろ仲が悪いし、お互いに連携も取れていない気がする。名前まで間違えている始末だし。
 それに、この銀行も何だかおかしい気がするのは何故だ?

「……なるほどな」

「何がなるほどなんですか? 神崎さん」

 全て分かったように余裕の表情をする神崎さん。俺は、疑問に思い聞いた。

「アイツらは、赤薔薇会の手に寄って集められた素人メンバーだ。その証拠に犯人らは、お互いの名前すら曖昧だし、協調性すらない。俺らの行動を把握しているとしたら、今日俺が支払いに銀行に行くことぐらい把握が出来たはずだ。それに銀行を見てみろ? さっきから防犯が発動していない」

 えっ? また赤薔薇会の仕業なのか!? あ、確かに。俺がおかしいと思ったのは、それだ。本来なら防犯機能が発動するはずだ。
 最近の銀行などには、防犯システムとして入り口にX線検査が設置してある。もし拳銃や刃物などが持ち込まれたらブザー機能が発動するようになっている。
 ブザー機能が発動すると入り口が封鎖され、窓口は防犯用のガラス窓が下りてきてスプリンクラーが発動する仕組みだ。そして速やかに警察に連絡されるはず。

 なのに今は、その気配すらない。まるで銀行強盗なんて最初から来て居なかったかのように反応すらされていない。システムエラーか?
 銀行の人達は、何が起きているのか分からずに青ざめている。客も怖がっていて、小さな子供は泣いていた。これすらも赤薔薇会の仕業なのか?

「どうやら気づいたようだな? 赤薔薇会なら銀行のシステムをハッキングして
停止することぐらいは、簡単に出来るからな。アイツにお金を奪わせるのは、口実で本当は、邪魔な俺らをまとめて始末するのが目的かもしれないな」