それから数日後。佐々木慶一……いや本名・井戸慶一は、神崎さんの予想通り遺体として発見された。口封しのために簡単に人を殺すなんて本当に恐ろしい。

 これが赤薔薇会のやり方なのかと理解するとゾッと恐怖を覚えた。
 そんな中、俺は神崎さんに誘われ一緒に病院に向かった。瀬戸さんのお見舞いに。
赤薔薇らしき人物に後頭部をいきなり殴られたらしいが、命は別状なく幸いにも軽傷だったらしい。

「思いっきり殴られたのにも関わらず軽傷って、お前は相当石頭だな?」

「勘弁してくださいよ~こっちは、大怪我するところだったんですから。しかも犯人を取り逃がすし、上司に怒られるし殴られ損ですよ」

「まぁ、お前の好きなカツサンドとサーモンサンドを持ってきたから機嫌直せ。それよりもそいつの顔は、見ていないのか?」

「わぁ~ありがとうございます。いいえ。いきなりだったし、意識を無くしたので何も。でも空手をやっていた俺でも、まったく気配を感じなかったので相当なやり手ですよ」

「相当なやり手ねぇ……」

 何か考え込む神崎さん。しかし、そうなったのも結局は俺の不注意からだ。
 瀬戸さんの頭に包帯をしているのを見ると、余計に申し訳ない気持ちになった。
 罪悪感を持ちながら俺は、頭を下げた。

「あの……すみませんでした。俺が、もっと気をつけていれば瀬戸さんが怪我をしなくて済んでいたのに」

「あ、いや……立花君のせいじゃないよ。柔道とかやっていたのに背後に気づかなかった自分も悪いんだし。それよりも君が無事で良かったよ」

 自分が怪我したのにニコッと笑顔で心配してくれた瀬戸さんに申し訳ないと思いながらも嬉しかった。すると瀬戸さんは神崎さんを見る。

「それより、あの井戸慶一は、遺体で発見されたようですね? 仕事場から連絡がありました。しかも頭を狙って撃ち殺し、そばに赤薔薇があったとか」

「……そうらしいな。死体に赤薔薇を置いて行くのは、アイツらの習性だからな」

 頭を狙って撃ち殺しただって!?
考えただけでもゾッとした。本当に邪魔になったら殺すのか。