「はぁっ? 赤羽さんにかかれば、そんなのどうにでもなる。それに騙された女に罪悪感なんて思う訳がないだろう。むしろ感謝してもらいたいぐらいだ。俺のお陰でいい夢を見させてもらえたんだから」

 感謝してもらいたいだと!?
 俺は、佐々木慶一の言葉にきと怒りを覚えた。そんな歪んで気持ちで……熊山さん達を騙したというのか?

「あんた最低だな。そんなの男のやることじゃない。男なら、ちゃんと女性を愛して……」と怒りをぶつけようとした瞬間だった。
 佐々木慶一は、俺を蹴飛ばした。そして倒れた俺を足で踏みつけてきた。

「はぁっ? 何を言っているのかな? 君は。嫌だねぇ~美学の分からない馬鹿な奴って。俺が、自分の美貌をどうやって使うか勝手じゃないか。あんな地味で誰にも相手してくれなさそうだから、ちょっと優しくしたら向こうから俺にくれたんだ。それの何が悪い? あぁ?」

 佐々木慶一は、また俺を蹴り飛ばしてきた。「ぐっ……」と痛みが走る。
 すると佐々木慶一は、俺の髪を掴み自分に向けさせた。

「残念だよ……お前が男で。女なら俺が相手してやったのに。だが、まぁいいさ。赤羽さんが来たらお前は死ぬ。邪魔者を消したら新しいターゲットを捜すだけさ」

「そ、そんなこと……させない」

 動かないが必死に抵抗して睨み付けようとした、その時だった。
インターホンが突然鳴った。えっ? しかも一回じゃない。何度も鳴り続けた。
 ま、まさか神崎さんが助けに来てくれたのか!?
その可能性はある。俺の居場所を捜してくれたんだ!
 俺は、淡い期待を抱く。すると佐々木慶一は、舌打ちをすると俺を引きずりクローゼットに押し込めてきた。持っていたカバンも一緒に。

「オートロックだが、万が一がある。ちょっとそこで大人しく持っていろ。もし勝手な真似をしたら、ただではおかないからな」

 口にガムテープを貼り付けるとクローゼットの戸を閉めてしまう。
 ちょっ……開けろ!!
 必死にジタバタするが縛られているし狭いため身動きが出来ない。な、何とかして、ここに居ることを神崎さんに知らせないと。
 必死にもがいている間に佐々木慶一は、モニター付きのインターホンに出た。
 そこに映り込んでいるのは、瀬戸さんだった。瀬戸さんは、警察手帳を見せる。