「あぁ、持っているよ。さすがに拳銃は、普段持ち歩かないけど」

「そ、そうなんですか? ぜひ見てみたいわ」

 いやいや。口だけに決まっている。いくらなんでも。落ち着け……落ち着くんだ。
 俺は、動揺しながらも警戒をしていると佐々木慶一は、ふぅ……とため息を吐く。

「仕方がないな。必要以外は、一般人に見せたらダメなんだけど……秘密だよ?」

 ウィンクしながら上着のポケットから警察手帳を取り出して堂々と見せてきた。
 こ、これは……本物なのだろうか? 見た感じは、以前瀬戸さんが見せた手帳と同じものだった。

「これで信用してくれたかな?」

「はい。あまりにも素敵だったので、思わず見惚れてしまいましたわ。ありがとうございます」

 自信満々に言う佐々木慶一に俺は、笑顔が引きつりそうになるが、何とか堪えた。
 しかし、どうやって入手したのか分からないし、刑事だと名乗ったからには、ますます警戒をしないといけない。何を企んでいるのか分からない。

「もっと佐々木様とお話をしてみたいわ。アドレス教えて頂けませんか?」

 俺は、わざと好意があるように言うと佐々木慶一にアドレスを交換をしないかと持ちかけた。
 電話だとテレビ電話にされた際に女装だとバレてしまうから、あくまでもアドレスで。神崎さんの指示で、別のPCウォッチを用意してもらっていた。
 無事にアドレスを登録する。よし。これで繋がりが出来た。俺は、気づかれないように小さくニヤリと笑う。

 そして無事に婚活パーティーが終わる。食事でもと言われたが神崎さんに報告がしたかったので断った。またの機会にと残念がっていたが……上々だろう。
 その事を神崎さんに報告する。すると、そのまま喫茶店に来いと言われる。俺はその足で神崎さんの経営している『KANZAKI』に向かった。
 お店の中に入ると、神崎さんは俺のために閉店させて夕食を作って待っていてくれた。しかも神崎さん特製カレーライス。あ、トンカツまで乗っている!
 俺は、感動しながらカウンター席に座った。めっちゃ旨そう。

「夕食がまだなら食べていけ」

「やったーありがとうございます」

 俺は、早速一口食べてみる。うっ……旨い。飴色になった玉ねぎが、しっかりと味の深みを出している。それに隠し味にウスターソース、バターなどを入れてコクのある仕上がりになっている。トンカツも外がサクサクで中が柔らかい。