「いえいえ、私なんかがモデルなんて、恥ずかしいわ。ただの一般人で父の会社を手伝っているだけです」

「そうなんですか? てっきりそうだと思いました。綺麗だし。あの……良かったら少しお話をしませんか?」

「は、はい。喜んで」

 俺は、謙虚気味に答えると岡本慶一は、疑いもなくニコッと微笑んできた。
 どうやら興味を思ったようだ。。少し離れた場所で話すことに。今回の偽名は、佐々木慶一と名乗っていた。いくつ名前を使い分けているのだろうか?
 俺は、疑問に思いながらも設定の会社の事をそれとなく、話すとさらに食いついてきた。

「君のお父様。凄い人なんですねぇ~。藍沢製薬会社だなんて、大手じゃないですか」

「そんな大それた会社じゃないんですよ。小さな会社で……恥ずかしいわ」

「アハハッ……謙虚な人ですね。俺こそまだまだ半人前なんですよ?」

 そう言いながら笑っていた。どうやら疑っていないようだ。よし、それならさらに深く探って情報を聞き出そう。そういえば被害者に遭った人の情報だと職業も毎回違うのを名乗っているらしい。
 なら今回は、一体どんな職業にする気なのだろうか? 俺は、警戒をしながら質問をしてみることにした。

「まぁ、何の仕事をなさっているのですか?」

「刑事です。まだ半人前なんですけど」

 はぁっ? 思わない職業を言われて驚いてしまった。よりにもよって刑事だと言ってくるとは。正気か?
 さすがに無理があると思うが。俺は、必死に疑われないように笑顔を装った。

「まぁ、勇敢で素敵なお仕事だわ。私、刑事とかそういうお仕事をしている人に憧れていまして」

「そうなんですか?」

「えぇ刑事ドラマとか、かかさず観ています。あの……もしかして警察手帳や拳銃とか持っていたりしますか?」

 ま、まさか……いくら何でも警察手帳とか持っている訳がないよね?
だが佐々木慶一は、ニコッと笑ってきた。