「それよりも何か情報を得たのか? 立花」

「あ、いえ。まったくその話をしなくて。でも絶対に怪しいですよ。あんな大金を豪快に使っているなんて」

 絶対に何か裏があるはず。すると神崎さんは、俺の頭をポンポンと撫でてきた。えっ? 神崎さんを見るとクスッと笑っていた。

「俺の方は、いい情報を得た。それを実証するためにも、あえて篠田を挑発した。
また大金が必要なり薬に手を出させるためにもな」

 えっ……じゃあ、わざと!?
 だからあんな風に挑発的な態度に出た訳か。それよりもいい情報って何だろうか?
 神崎さんのことだから確かな情報なのだろうけど

「それは、何ですか?」

「まずは、聞き込みだ。瀬戸にはすでに頼んである。それと関わり合いを見つけるためにも明日も来ることにしよう」

「明日もですか?」

 えっ? また経費で? いくらなんでもその内に瀬戸さんが泣きついてきそうだが? いいのだろうか? と心配になってきた。

 その後。本当に神崎さんは、次の日も来た。篠田は来なかったが、また次の日も。
 高いお酒を頼み楽しそうにミキさんと談話する。瀬戸さんに対する嫌がらせか?
いやいや。それとも違う情報の聞き込み? 
 それならマヤさんを指名すればいいのに。マヤさんもイケメンで高い酒を頼んでくれる神崎さんが羨ましくて仕方がないのとミキさんに対する嫉妬でイライラした表情になっていた。
 違う間違いが起きないといいのだが? 俺は、恐怖でビクビクしながら見ていた。
 
 そして3日後にまた篠田が来店してきた。
 変わらず明るい表情でマヤさんを指名してきた。お金のピンチとは思えないほど大盤振る舞い。すでにあの大金を返金出来たのだろうか?
 俺は、気づかれないように篠田におつまみのチーズを持って行く。するとマヤさんは、篠田におねだりを始めた。

「ねぇねぇマヤ。最近欲しい新作のブランドバッグがあるの。篠田さんならきっとマヤのお願い叶えてくれると思うんだけどなぁ~」

「よしよし。いくらだ? 今度大口の取り引きをするから叶えてやれるぞ」