「立花。俺は確かに、赤薔薇会を憎んでいる。それは、紛れもなく事実だ。リカコに調べさせて、お前の存在にたどり着いた時は確かに、お前に憎しみを覚えたし、赤羽もお前を捜していた。だから上手く利用すれば、アイツから近づいてくると思いお前をバイトとして採用した」

 やっぱり……。
 赤羽の言っていた通りだった。分かっていても本人から事実を聞かされると、どうしようもなく悲しい気持ちになった。
 すると神崎さんは、両手で俺の手を強く握り締めてきた。

「だが…それは、最初の内だけだ。お前と一緒に捜査したり喫茶店で過ごしている内に昔を思い出した。よく伊波と一緒に過ごしてた時間を。知らない内にお前との時間が当たり前になり、大切な時間になっていた」

「神崎……さん」

「俺は、お前を赤薔薇会に渡す気はない。これからもずっと俺のバディとして一緒に居たい。それは、間違いなく俺の本心だ。血とか過去とか関係なく……お前を守りたい。それじゃあ……ダメか? お前と一緒に居る理由は」

 真っ直ぐと俺を見て言ってくれた。
 その優しくも切ない言葉に、俺はさらに涙が溢れていた。
 自分も……そばに居たい。血とか過去とか関係なく、ただ神崎さんと一緒に過ごしたい。まだ自分の中の赤羽の血に恐怖はある。
 これからも、それを抱えて生きていかないとならない。
 でも諦めたくない。神崎さんが俺を必要としてくれる限りは……。

「俺も……神崎さんと一緒居たい」

 涙を流しながら正直に伝える。すると、神崎さんは嬉しそうに微笑むと、また俺を抱き締めてくれた。彼の優しさが伝わってくるようだった。
 このぬくもりを失いたくない。そう……心からそう思う。
しかし、ドア越しでそれも見ていた人物が聞いていた人物が居た。瀬戸さんだ。

「確かに赤羽の言っていた取りになったな。フッ……これは、また面白そうなものが見えそうだ」

 瀬戸さんは、ニヤリと笑いながらつぶやくと、その場を後にする。
 俺達は、その事に気づかなかった。
 それが、また新しい犯罪の幕開けになるとは……。
 それから数日後。俺はと言うと……。