すると赤羽は、俺のところに来てこう告げた。

「僕は行くとするよ。またね、僕の可愛い弟君。でも、これだけは覚えておいて。
君が居る限り赤羽の血は絶えない。それに僕が存在する限りは。君はいつか、赤薔薇会の一員になるかもしれないってこと。 だって……そうだろ? 君の中には殺人の才能があるのかもしれないのだから」

  俺の中に……?
 そのまま意識を失ってしまう。
真っ暗の中で誰かに名前を呼ばれた気がした。誰だろう? 懐かしい感じだ。

  そして次に目を覚ましたら知らない天井が見えた。ここは、何処なんだろう?
 不思議に思いながらも身体を起こしてみる。
うっ……まだ頭が痛い。ここは病院か?
 するとドアが開いた。入ってきたのは神崎さんだった。

「立花。意識を取り戻したのか!?」

「あれ? 何で神崎さんがここに?」

 ぼんやりして記憶が曖昧だ。すると神崎さんは驚いた顔をする。
しかし何も言わずに俺のところに駆け寄ると、何も言わずに抱き締めてきた。
 えっ……えぇっ!?
 何で男の神崎さんに抱き締められているのか分からず、動揺してしまう。
しかもドキドキまでしてしまった。

「あ、あの……?」

「良かった……記憶が戻ったんだな?」

 えっ? 記憶?
 その瞬間、今まで記憶を思い出した。俺……。
 罪悪感で申し訳なくなる。俺……神崎さんにとんでもない事をしようとした。

「あの……神崎さん。すみませんでした。俺……薬のせいで神崎さんを」

 不可抗力だとしても怪我をさせたのは事実だ。
 もしかしたら死んでいたかもしれない。それだけじゃない。
自分が赤羽の血を引いている。神崎さんが憎む赤羽の血が俺の中にも……。
 どうしたら謝罪が出来るのか分からず胸が苦しくなり涙が溢れてくる。
 しかし神崎さんは、そんな俺の頭を撫でてくれた。えっ? 
驚いて神崎さんを見ると切なそうな表情をしながらも、優しく微笑んでくれた。