「ふ~ん。なるほど……だけど、それだと証拠にはならないよ? ただ『二人がやったかも』と言う憶測だけだ」

 それを聞いた仮面の男は、フフッと笑いながらそう言ってきた。
 確かに。それだと、ただの憶測だ。証拠にはならない。
 しかし神崎って人は、クスッと笑いポケットからUSBメモリーを取り出した。

「あぁ確かに。だから、ちょっと細工をさせてもらった。リカコに頼み、ウィルスを掲示板に送り込み感染させておいた。中身を見ようとすれば知らずに感染させられ情報が全てこちらに流れるようにな。お陰でこれに全てコピーさせて貰った。
やり取りや履歴で赤薔薇会との証拠がいくつか出てきたぞ。さぁ、どうする? これを警察に証拠として渡せば、お前らを捕まえる事が出来る。お前の負けだ……赤羽」

 強気に出る神崎って人。しかし、お面の男は気にすることなく大笑いしてきた。

「フフッ……確かに。これだと僕の負けだね。でもさ。僕がそれに気づかないと思った? それに、僕は捕まる気も殺される気も無いけどね」

 えっ……?
 する仮面の男は、パッと岸谷ほのかを人質に取った。
岸谷ほのかに拳銃を突き付ける。岸谷さん!?

「キャアッ……やめて。話が違うじゃない」

「赤羽。卑怯だぞ!?」

「利用が出来るモノは、何でも利用する……同然だろ? 彼女は、俺を逃がすための人質になってもらう」

 人質に取られたら下手に反撃が出来ない。すると、その時だった。

 「お迎えに上がりました」

 と一人の黒いスーツで白髪の高齢男性が現れた。それに対してクスッと笑う仮面の男。

「フフッ……丁度いい。大人しくしていてもらおうか? あぁ、せっかくだから君達も楽しむといいよ。瑞穂。『アロマ』だ。アイツらを反撃しろ」

 すると手を撃たれ銃を持てないはずの堀内瑞穂は今度は、左手で近くの金属バットを持ち出した。えっ……ちょっと。ま、まさか!?