学校が終わると気持ちがモヤモヤしたまま、自分のアパートに帰宅する。
 そして俺は伊波君にテレビ電話した。
 今日会った神崎っていう先生のことを話した。すると驚いた表情をしていた。

『もしかして背が高くて髪を結んでいる人だった? えっと……待って。確か写真があったはずだ』

 伊波君は、そう言うと写真を画面に載せてくれた。
 高校の頃の卒業アルバムの写真だったが、間違いない……この人だ!

「間違いないよ……この人だ!」

 こんなイケメンなかなか居ないし。今のが大人っぽいがイメージは、変わってなかった。

『そうか……この写真は兄の卒業アルバムのやつなんだけど、間違いないよ。神崎桃哉だ。もしかしたら君の命を狙っているのかもしれない。くれぐれも近寄らないで。もし何か遭ったら僕に電話して。これは、僕の方からも調べるから。あ、護身用に折りたたみナイフも持っていた方がいい。もしかしたら何か役に立つかもしれないからね。立花君『いい子』だから、自分の命は自分で守るんだよ』

「わ、分かった……そうする。じゃあ……またね」

 俺は、そう言うとテレビ電話を切った。改めて確信した。
 あの男が……神崎桃哉。自分の命を狙っていると思うと怖い。
身体がガタガタと震えてきた。そ、そうだ!
 慌ててキッチンに行くと折りたたみナイフを取り出した。ナイフを広げて見ると、キラリと鋭く耀いて見えた。すると何だろうか。安心してきた。
 いや……安心ってより魅力されるような感覚だった。

「もし……攻撃してきてもこれさえあれば」

 そう……これさえあれば。自分の命を自分で守れる。
例え誰が犠牲になったとしても。フフッ……と不敵な笑みを浮かべていた。

 次の日。俺は折りたたみナイフをポケットに入れて、浅草S女子高等学校に向かった。何だか、これがあるだけで自分が強くなったような気分だ。
 すると、学校付近に着く頃にPCウォッチが鳴り出した。こんな時間に誰だろうか? と思ったら瀬戸さんだった。
 そういえば瀬戸さんは、事件の真相を知っている唯一の人だよな。
 それに関して何か分かったのだろうか? テレビ電話に出てみる。