一部記憶が無くなっているから、その時か? 思い出そうとしても、頭に霧がかかり思い出せない。
 すると私と一緒に居た女子高生達が黄色い声援をあげる。

「あ、神崎先生じゃん。ラッキー」

「キャアッ~神崎先生~」

 そう言いながら、その先生らしき人物に駆け寄っていく。えっ……ちょっと!?
 取り残された俺は、どうしたらいいか分からず戸惑ってしまった。
すると、その白衣を着た男性はニコッと微笑んできた。

「君達か。ちゃんと授業を受けてるのか?」

「当たり前じゃん。 それよりさ~聞いてよ。この先生。今度、教育実習の立花先生が超ウケるの」

 女子生徒の1人が俺に話をふってきた。えっ……俺の話題!?
 驚いているとその神崎先生って俺を見て目を大きく見開いた。

「た……ちばな!?」

 えっ? やっぱり知り合い?
 確かに見覚えがあるような気がしてきたけど、まさか本当に知り合いだったようだ。でも誰だっけ?
 しかし、その神崎先生は俺のところに駆け寄ると俺の腕を掴んでくる。

「立花。良かった……復帰出来たんだな?」

「えっ……さ、触るな。誰だよ……あんた」

 何故だか無意識に手を払い除けてしまった。何故そうしたのか分からない。
 ただ急に怖くなった。すると彼は驚いた表情をする。
だが、すぐに凄く悲しそうな表情に変わってしまった。えっ……?

「そうか……やはり俺のこと忘れてしまったんだな?」

「忘れた……? 一体何の事ですか?」

 急に忘れたのか? と言われても困ってしまう。
もしかして記憶を無くした時に知り合った人物か? それに神崎……?
 神崎と言えば。俺は、伊波君の言葉をフッと思い出した。
 まさか……あのオーナーか?
すると周りの女子生徒達が騒ぎだしてしまう。

「えっ? 何……修羅場? もしかして神崎先生と立花先生って知り合いなの?」

 そ、それは……。